高 崎今、高校ラグビーは啓光学園(大阪)がすごくて、今年の1月の全国大会でも優勝して3連覇を成し遂げただろう。

平 尾強いよな。

高 崎彼らが強いのは、自分たちのスタイルをしっかりと持っているからなんだよね。オセロゲームって角を押さえることが大事で、それまでどんなに形勢が悪くても、四隅を押さえたら一気に逆転できる。あれと同じで、どんなに不利な状況であっても、「こことここを抑えておけばひっくり返せる」ということを選手全員が知っているんだよね。だから、自分たちでゲームの流れを作り出すことができる。パターンじゃなくて、流れをね。

平 尾そうなんだよね。だから、どんなに不利な状況に置かれていても、慌てたりしないだろ?

高 崎そうそう。どんなに攻め込まれても、ここだけしっかり抑えておけば大丈夫というのを分かっているから、そこだけはピシッと止める。そういう意味では、ゲームをよく理解している。

平 尾そうだね。ゲーム・アンダースタンディングが養われているということ。

高 崎それに、角を抑えることができると判断すれば、泳がしておくこともできるし。いろんな戦略が可能になる。

平 尾それと、啓光学園の選手はみんな個人的なスキルが高いよな。バックスでもディフェンスが弱い選手はいないし。

高 崎そうなんだよ。どちらかしかできないようでは、試合では使ってもらえないんだろうね。

平 尾コンタクトプレーがきつくて、それでいてパスもうまい。そういう選手が揃っているからオプションも多くなるし、一つ一つの精度も高いから、いろんな組み合わせができて攻撃が多様化する。それが強みだね。まあ、啓光学園は中学・高校と一貫教育だから、ラグビーの指導も6年間かけて行うことができる。でも伏見工は3年間でそれをやらないといけないわけだから、大変だね。

高 崎最初から3年間という条件だから、あんまり気にならないよ。もちろん、公立高校ということで、私立の学校に比べたら限られている面もある。でも、その中でやっていくのが一つの使命だと思っているので、時にはうらやましいと感じることもあるけれど、それがストレスになったりすることはないよ。

<<つづく>>

 

 
 
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