平 尾ところで、バレーボール界のVリーグ構想というのは、あれはどういう考え方だったんですか?

中垣内オリンピックや世界選手権で好成績を収められるように国際競争力をつけるということと、人気を回復させて同時に競技人口を増やそうというところからの発想だったんですけど…。

平 尾プロ化という話しもありましたよね。うまくいかなかったんですか?

中垣内うまくいかなかったというより、何のアクションもなかった。

平 尾やらなかったということ?

中垣内そう。やらなかったんです。ただ、プロ化については、あのとき強引にするよりも見送った方が被害は少なかったと私は思っています。

平 尾そうなんだ。プロ化は断念したわけだけど、Vリーグ構想が出た後、「日本リーグ」といっていたものが「Vリーグ」に変わりましたよね。中味は何か変わったんですか?

中垣内変わっていませんね。ちょうどJリーグが始まった直後で、バレーボールもプロ化をうたってVリーグ構想が出てきたんですが、プロ化の話はとん挫して名前だけが残ったということです。

平 尾なるほど。

中垣内今、「プロ化」という話が出ていますが、バレーボールの場合、選手は誰でも「プロ宣言」ができるんです。たとえば、会社に認めてもらってプロとしての環境をつくってもらえれば、そこでプロ宣言をすることもできる。そうなれば、先ほど話しに出た肖像権に関しても、JOCから離れます。ただ、現状ではプロになることでのメリットがあまりないんですね。人気と実力がずば抜けている選手ならばいいのかもしれないですけれど。

平 尾だから、基本的には個人競技の選手の方がプロ宣言をしやすいんですね。それに、集団競技の場合は、全員がプロならばそういう扱いにあるけれど、プロ選手と社員選手が混在する場合は問題もでてきそうですね。

中垣内そうですね。ラグビーの場合も、プロ選手というのはいるんですよね。たしか、日本代表チームに関して日本協会がプロ契約をするという新聞記事を読みましたが…。実際に行われているんですか?

平 尾実施されています。これは、日本代表選手がラグビー協会に出向するという形態をとるんです。

中垣内そうなんですか。

平 尾それに加え、企業との間でもプロとしての契約を行う選手も出てきました。それと、以前から外国人選手はいわゆるプロでした。日本のラグビーでは、外国人選手は2名までは同時ゲームに起用できるというルールになっているので、どこのチームも3、4名外国人選手を抱えています。中には5名というチームもありますね。

中垣内なるほど。そうすると、以前は外国人選手はラグビーだけやって、日本人選手は社員として仕事をしながらラグビーをしていたわけですね。

平 尾ただ、以前からといってもそういう状況になったのは最近のことなんです。私が現役のころは、少なくとも社外的には外国人選手もきちんと仕事をしていることになっていた。というのも、神戸製鋼は昔から外国人選手がたくさんいましたが、もともとは正式な社員だったんです。毎年、海外の大学にも求人広告を載せているので、外国人も入社してくる。そんな中にラグビーをやっていたという人がたまたまいて、プレーを見たら素晴らしかったのでラグビー部に入ってもらったわけです。そこから、外国人選手を取ることが一般化するようになり、出場枠などの規制も出てきたんです。

中垣内そういう経緯があったんですね。これからは、ラグビーの場合でもバレーボールの場合でも、チームの中でプロ選手と社員選手とが共存していくことになりますね。

平 尾そうですね。そうなると、いろいろな問題が出てくる可能性は否定できない。選手の契約のあり方が多様化していけば、給与体系も違うし、成功報酬も変わってくる。もちろん、金銭的なこと意外にもいろいろな差異が出てくるだろうから、たとえば会社の就業規則を変えるというようなことも必要になってくるかもしれない。そういうところまで柔軟に対応していかないと、うまくいかないでしょうね。

中垣内そうですね。

<<つづく>>

 
 
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