平 尾やっぱりジーコのような指導者は、必要なんだと思います。とくに、これから日本サッカーが更なる飛躍をするためには。ただ、どうでしょうか?半歩ぐらい早すぎたのかなとも思います。日本のチームも選手も、まだ熟していないのかと。

永 井そうですね。少し早いのかもしれない。でも、いつかどこかで手をつけないといけないことです。ワールドカップで一応の結果を出して、海外でプレーする選手も増えて、日本も認められてきた。ここでまた同じようなパターンサッカーをやっていたのでは、ダメだろうということで、手をつける時期としてはよかったかもしれないと思ってます。

平 尾なるほど。タイミング的にはOKならば、誰が手をつけるのかということですよね。

永 井はい。これまでは、いわば上から押しつけられて「やらされていた」という状態でした。それを、選手個人が成長して、インディペンデントな選手になれるような指導をする環境に変わったわけです。でもそういう方針を取り入れると、今まで押さえつけられていた反動で、必ずどこかで「緩み」が出てきます。

平 尾そうですね。強制されていたのが自主性を重んじるようになると、必ず反動がでますね。

永 井その結果、チームは一時、停滞する。そうすると、当然批判が出ます。以前は統制が取れて選手もきちんとしていたのに、自由でダラダラしていていいのか、と。そういう批判に耐えられる力量の人物を監督にという考えがあったと思うんです。

平 尾それが、ジーコだったと。

永 井はい。別の人がやっていたら、とっくに解雇されているでしょうから。

平 尾あとは周りが、どうサポートしていくかということですね。結局、強制的にやらせれば瞬間風速的に力は上がるかもしれないけど、その力は長く続かないものです。主体的になっていかなければ、本当の意味での力は身に付かない。ただ、それには時間と忍耐力が必要です。そういう意味では、今は我慢のコンセンサスが必要な時期ですね。

永 井そうなんですよ。サッカー界も日本の国民も含めて、今は我慢のコンセンサスをとっていく必要があるのだと思います。

平 尾本日は、ありがとうございました。

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