原 田そういう意味では、学校体育の場も変化していってほしいのですが、なかなか変わりませんね。その要因の一つに、教員の高齢化ということもあると思います。今は40代、50代の教員は当たり前で、クラブ活動の指導も30年間ずっと同じ教員が受け持っているということが珍しくありません。

平 尾もちろん経験を積むことや、ある部分では変わらずにいることも必要でしょうが、昔とまったく同じことを言っているだけではなかなか進歩が望めません。そういうときには、現状を打破するためにイノベーションを起こすことも必要だと思います。

原 田おっしゃるとおりです。

平 尾教育現場の話からは少しそれますが、たとえば古くはサッカーの日本代表が1960年代に特別コーチとしてドイツからデットマール・クラーマー氏を招いたことによって、日本のサッカーが大きく変わりましたね。あるいは、90年代にはハンドボールの全日本がスウェーデン出身のオルソン氏を監督に起用して、強豪国のフランスと接戦を演じるほど強くなりました。これは何も日本人監督がだめで、外国の指導者がいいという話ではないのですが、今までにはなかった方向性を示したり、新たな刺激を与えたるという意味で、、そうした人材を投入することもひとつの手段だと思っています。

原 田そのとおりです。これは以前、ホンダの(前)社長がコメントされていたことですが、自動車のマーケットでは今や日本車とか外車とかいう概念がなくなってきたというんです。日本車と外車ということではなく、ホンダ対GMであり、ホンダ対トヨタ、つまりブランドの勝負なんだと。日本代表チームに関して言うならば、日本という枠に固執しているようではだめで、日本代表を一つのブランドとしてとらえる必要があると思います。そして、そのブランド価値をいかに高めるか。そのためには、日本人監督とか外国人監督ということは関係ない。その指導者に何ができるかということを重視すべきでしょうね。

平 尾そうなんです。それは、スポーツ全般についても言えることで、コーチングテクニックを向上させることはもちろん、人材の東洋についても枠にとらわれず、必要とする指導者を柔軟に起用できる体制を整えることが必要なのではないでしょうか。

<<つづく>>

 

 
 
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