東日本大震災被災地支援活動参加報告書
〜 被災地の子供たちと『ラグビーボール』で遊ぼう! 〜
日本アスリート会議主催「ウォームアップ・ジャパンin 東北」に参加
アスリートの社会貢献活動支援を目的に設立された「日本アスリート会議」が、東日本大震災の被災地である岩手県、宮城県、福島県の子供たちを対象に行っているアスリート・プログラム「ウォームアップ・ジャパン in 東北」に、SCIXも参加してきました。
その模様をご報告いたします。
日 時:2011年10月10日(祝) 午前10時〜午後3時
会 場:角田市陸上競技場、角田市総合体育館
主 催: 一般社団法人日本アスリート会議、公益財団法人日本体育協会
主 管:スポーツコミュニティ・かくだ、角田市教育委員会、角田市体育協会、角田市スポーツ少年団本部
協 力:スポーツNPO・SCIX、千代大学、財団法人宮城県体育協会、財団法人角田市地域振興公社
内 容:ボール遊び、ラグビークリニック、体力測定、スポーツ体験など
SCIX参加者:
元木由記雄、武藤規夫、今村順一コーチ
美齊津二郎、宮川光太郎理事
木曽賢二、城本章彦、上林充、遠藤亮之、SCIXラグビークラブ
【活動報告】
今回のプログラムは、宮城県角田市で、毎年、体育の日に開催されている「スポーツフェスティバルinかくだ」のメイン・プログラムとして、「日本代表選手(ラグビー)と遊ぼう!」をテーマに実施された。
近隣の津波被災地域の子供たちも含め、約250名の小中学生が参加。
神戸製鋼ラグビー部で日本一を経験した、元日本代表の元木由記雄、武藤規夫、今村順一SCIXコーチと、サポートの部員の指導で、ラグビーボールを使ったボールゲームを楽しんだ。
参加してくれた小中学生の中には、津波被災地のラグビースクールの子供たちもいたが、ほとんどの子供はラグビーの楕円球に触れるのは初めて。
それでも、ゲームでは実際のラグビーボールより二回りほど小さい小学生用のボールが使われたこともあって、みんなすぐにボールを落とさず走れるようになり、「パスもキャッチも飲み込みが早い。びっくりしました!」(元木コーチ)とコーチ陣を驚かせていた。
この日行われたボールゲームは、ボール扱いが上手くなるような初心者メニュー以外は、「ボール取りゲーム」や「ボール運びリレー」「ダルマさんが転んだ!」など、普段、子供が行っている遊びをアレンジしたものが中心。
普段の遊びを通して、楕円球に親しんでもらおうという、SCIXコーチ陣の工夫がなされていた。
そんな身近な遊びに加えて、メニューごとに学年も男女もばらばらにしてチームを結成。チーム戦で順位を競い、最下位になったチームには「お星様ジャンプ」や、腕立て、腹筋、スクワットなどの罰メニューも用意されていたことから、子供たちも真剣。運動会さながらの全力疾走でボールを運んだり、奪い合ったり! 最後の「ダルマさん転んだ!」では、鬼役のコーチと「動いた」「動いてない!」で激しくやり合う(?)ほど、熱気に包まれたプログラムとなった。
また、ラグビースクールに通っている中学生には、別メニューで「ラグビークリニック」も実施された。U20日本代表前ヘッドコーチでもある元木コーチが、「今日は、鍛えたるぞ!」と、体幹の強化や、パスやハンドリングの基本技術を指導。
生徒たちも、代表選手と同じレベルの指導が受けられるとあって、全員真剣な眼差しで、特別メニューに取り組んでいた。
今回のイベントは、津波被害などで校庭が使えなくなった子供たちに、芝生のグラウンドで、一日、思い切りスポーツを楽しんでもらおう、という趣旨で開催されたものだったが、SCIXが提供したプログラムは、加えてラグビー経験のない子供たちには、楕円球に触れてもらう機会を提供することと同時に、みんなでチームを組み、作戦を練ったり、指示を出し合ったりしながらゲームを進めることで、チーム競技やボールゲームの楽しさも知ってもらえれば、という思いも込められていた。
そういう意味で、「これからも、ラグビーボールを使って遊んで欲しい!」「被災を乗り越え、元気でスポーツの好きな子供に成長して欲しい!」との願いを込め、今回使用したボールを参加してくれた子供たちに贈呈させてもらった。
また次回、何かの機会で訪れたとき、この日の子供たちがどう大きく成長してくれたか、再会が楽しみな子供たちとの出会いであった。
イベント終了後、主催者に車を出していただき、全員で津波被災地域の視察を行った。
場所は角田市の隣町で、特に被害が大きかった山元長と亘理町。どちらも常磐線の駅周辺の町や港一体が10mを超える津波のために、大きな被害を受けていた。3.11から早や7ヶ月、被災地一帯はススキ野原になっていたが、その被害の大きさ、規模の大きさに、全員声を失い、ただ茫然と立ち尽くすだけだった…。
と同時に、我々アスリートがスポーツを通してやれることは、まだまだたくさんあるのではないか。
それをやるのが、大震災を経験している神戸のスポーツNPOの役割ではないのか。
そんな思いを、また強くした。
「SCIXは、もっともっと被災地支援をしようぜ!」
元木コーチの一言が、みんなの胸の内を代弁してくれた。