S C I X平尾さんは、そのあたりの話はご存知でしたか 。

平 尾いや。でも、そのあたりの意図は見ているとだいたい分かりますね。でも、いい話ですね、ラグビーハンドボールというのは(笑)。もともとラグビーフットボールがラグビーになったのは、単にIRB(インターナショナル・ラグビーボード)がフットボールという言葉を取ってしまったからですからね。その上で、ラグビーハンドボールというは、とてもいい切り口だと思いますね。それと、キャプテンの大久保選手は確かにちょっと不器用なところはあるけども、とてもいいヤツだし、10数年のキャリアのハンディキャップを、あのタックルで埋めていますよ、正直言って(笑)。

土 田そうだね(笑)。

平 尾それと、ゲーム中での経験のなさ、判断力が劣る部分を「あらかじめゲームの大筋を決めて試合に臨む」ということで埋めるというのも、非常にいいと思いますね。このあたりは、各個人をよく見た上でのゲーム設定だと思いますね。

土 田そういうことなんだよ。

S C I Xチームを作るにあたって、会社からは「ラグビー部を継続していくための組織作りもきちんとして欲しい」という話もあったということですが、著書によるといくつかテーマを出され、最終的に「チームを勝利に導くための強力な機能を発揮する組織」ということに主眼を置いて組織作りをされたとありますね。

土 田これは平尾ジャパンの時に、みんな(スタッフは)ボランティアで集まっている中で、いかにモチベーションを高め、しかも縦型ではなく並列型にした組織作りというのを、すでにやっていましたからね。そこをそっくり「いいとこ取り」をしたという感じなんですよ(笑)。

平 尾スタッフまでも、いいとこ取りしていきよったからね(笑)。

土 田ハハハ。でも、最終的にはやっぱり人なんですよ。トレーナーとか栄養士とかも。

平 尾例えばトレーナーの石山(修盟)さんとか、栄養士の山田(優香)さんとかは、ジャパンのときもすごくよかったからね。そういう人たちが東京にいて、僕らも助けられた。そういう人たちが今度は土田が声をかけて、サントリーというチームに入った。石山さんにしても山田さんにしても、ジャパンのチームで長い間専門的にラグビーを経験してきましたから、そういう意味では彼らがスタッフに入ったというのは、土田にとっては心強かったと思いますね。

土 田その点は本当にラッキーだったと思っています。こちらがいろいろ言わなくても、分ってくれるところがありますからね。

S C I Xそうした体制を作らせてくれというのも、監督を引き受けられる際の条件だったわけですか。

土 田そうですね。どうせやるなら、そういう仕事をやりたかったですからね。実は平尾と一緒にジャパンをやるときも、コーチを受けるかどうか非常に迷ったんですが、それが終わって、「さあ、これから仕事で」という時期だったんです。そのあたりは社長にも話をさせてもらいました、「私の人生ですから」と言って(笑)。いや〜、ラグビーのプロで監督をやりたいんだったら、別のやり方もあったんでしょうが、そういう気持ちはありませんでしたからね。

 

 
 
Copyright(C)2000 SCIX. All rights reserved.