平 尾確かにホーム&アウェイでは、そういう戦い方をすることが大事ですね。それによって、ファンが根付くし、集客もできる。みんなの関心が高まってくれば、マーケットは拡大するし、チームとしてのブランド価値も高まる。そうすると、お金が集まるわけで、その資金を強化に使うことができれば、チームはさらに強くなる。そういう流れがあります。これまでは、「強くなれば、チームの価値も上がる」という考え方が主流でしたが、これからは強化の一環として「ブランド価値」というものを考えていく必要があるのではないでしょうか。

原 田そうですね。これは「スポーツビジネス」の話になりますが、ヨーロッパではサッカーの市場がおよそ1兆円産業と言われています。そのうち、小野(伸二)選手が活躍しているオランダリーグの占める割合は、およそ4%程度、400億〜500億円だろうと見られています。日本のJリーグもだいたい同じぐらいの規模ですね。

平 尾そうなんですか。

原 田ただ、ヨーロッパと構造的に違うのは、Jリーグの場合は放映権料の占める割合が少ない。それが、たとえば中国のテレビ局がJリーグの試合映像を購入するとか、新たな放映権料が発生するとJリーグのマーケットも拡大する。イギリスのプレミアリーグまではいかないにしても、フランスリーグぐらいの規模になる可能性はある。ただ、現時点ではその価値を生み出すところまで残念ながら行っていない。ですから、今のJリーグで大事なことは、今後自は何ができるのか模索しながら、自分たちのブランド価値を高めるために戦略を立てていくことだろうと僕は思っています。

平 尾そうですね。ラグビーのトップリーグでも同じことが言えるでしょうし、ナショナルチームについてもブランド価値というものを、もう一度考え直すべきかも知れませんね。実際、日本ではラグビーのマーケットに関するしっかりとしたデータがありませんから。

原 田デートを測定したら、いろんなことが見えてくると思います。そのうえで、どうやってブランド価値を高めていくのかといった、スポーツビジネス的な感覚が必要となってくる。日本の中だけを見るのではなくて、世界の中でどんなポジションにあるのかという見方をすれば、そこでブランド価値を高めるためのいろいろな発想が出てくるのではないでしょうか。

平 尾そうですね。そうなると、おもしろくなりますね。

 

 
 
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