SCIXコーチインタビュー【第五弾】HIROYUKI KONDO
「楽しむ」をモットーに、質の高い練習をしていきたい

──高校からラグビーをはじめて、7年足らずでトップリーグまで上り詰めた。

kondo近藤:「SCIXラグビークラブ」の中高生の中には小学校低学年からラグビーをしていて、僕よりキャリアが長い子もいますよ(笑)。指導しはじめて思ったのですが、「SCIXラグビークラブ」に通っている子たちは(元木)由記雄さん、(今村)順一さん、大石(嶺)さんといったトッププレーヤーから指導してもらっていることもあり、基礎がちゃんとしているなって。練習時間は短いですが、質の高い練習をしてきている。それが「SCIXラグビークラブ」の良さだと思いますね。

──現在、男子の中学・高校生の部と女子の部を指導されているんですよね。

近藤:そうです。男子も女子も練習は週に2回ですが、その内の1回は男子と女子の部が一緒に練習をしています。その中で一番能力が高いのが高校生の男子、次が高校生の女子と中学生の男子が同じくらい。そして中学生の女子となるのですが、下のレベルに合わせたくないので、高校生の男子がするようなメニューを女子の部もやっています。もちろん中学生の男子や女子の中には同じようにできない子もいるんですが、それはそれでいい。だけど、できないことができるようになれば、より楽しくなる。まずはそのプレーにチャレンジすることが大事だと思っています。中高生が一緒に練習をしていることもあり、ハンドリング練習が中心になりますが、楽しんで、なおかつ成長してもらえるように内容を考えて練習しています。

──近藤コーチが指導をする上で大切にしていることは?

kondo近藤:「SCIXラグビークラブ」の成り立ちを考えると、よくある「根性練」などをする環境ではないと思います。それに、子供たちもそれぞれ目標があると思うんです。自分自身のパフォーマンスの向上や高校生にとって一番大きな大会である兵庫県民体育大会で1つでも多く勝ちたいなど。さまざまな年代の子たちがいる中で、何が最良なのかと今でも悩むところではあります。そんな中で僕自身、大事にしていることが、「楽しむ」ということなんです。

──「楽しむ」ことが指導をする上での近藤コーチのモットーということでしょうか?

近藤:はい。そもそもラグビー自体、本来楽しいものだと思うんです。時にはしんどい思いも必要だと思いますが、それは部活動やスクールなど自分の所属するチームですればいいかなと。「SCIXラグビークラブ」はいろいろな地域からさまざまな学年の子どもたちが集まって、週に2日だけ練習をする。その週に2日の練習で苦行のような練習をする意味はありません。練習に来た時には純粋にラグビーを楽しむ。もちろん楽しむとはいえ、やる時は真剣にやる。一生懸命やらないと楽しくないと思いますから。ラグビーを続ける子たちはスキルアップするように、はじめたばかりの子たちには、ラグビーは楽しいものだと思ってもらえるような質の高い練習や雰囲気づくりに努めています。

──今後、どういうコーチになりたいと思われますか?

近藤:部活の先生というのは、怖い存在というイメージがあると思うんですけど、「SCIXラグビークラブ」は子どもたちを型にはめる訳ではないですからね。和気あいあいとしつつも、礼儀やチームメイトを思いやる気持ちなどを育んでいきたいですね。そこで最終的に、みんなのお兄ちゃん的存在になれたらいいなと思っています。

──ラグビーの楽しさを伝えつつ、これまでの経験で培った技術などを子どもたちに落とし込んでいってくださいね。

近藤:コーチに就任した当初は、中学生と高校生が混在していることや週に2回の練習ということなどもあって、どのレベルで教えたらいいのか分からず悩んだのですが、練習を重ねるごとに、個々の能力も高いことが分かりましたし、うまくなりたいと思っている子も多い。最近は「SCIXラグビークラブ」に愛着が湧いてきました。やり甲斐を感じていますね。

──今日はありがとうございました。

近藤洋至(こんどう・ひろゆき)
1984年11月15日、兵庫県出身。中学まで軟式野球部に所属していたが、肩を故障したため、高校では断念。当時ですでに190cm近くあったという長身を見込まれ、1年生の冬からラグビーをはじめる。2年の時にオール兵庫ジュニアに選出され、3年の時にはU19日本代表候補となる。進んだ立命館大学では2年生からレギュラーを獲得。2007年神戸製鋼入社。1年目に公式戦4試合に出場する。2012年3月現役を引退し、社業に専念。今年6月よりSCIX事務局の運営に携わりながら、新人コーチとして中高生や女子の指導を担当する。
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