■ 第9回SCIXスポーツ・インテリジェンス講座
『スポーツの多様な見方、考え方──クロス・スポーツ・インテリジェンス』

第1回「チーム競技」と「個人競技」
講師:平尾誠二氏(神戸製鋼コベルコスティーラーズGM)×野村忠宏氏(柔道家)
日時:2015年5月30日(土)19:00〜20:30 
会場:神戸国際会館セミナーハウス

 今年で9回目となる「SCIXスポーツ・インテリジェンス講座」。今回は『クロス・スポーツ・インテリジェンス』とし、「チーム競技」と「個人競技」、「活字報道」と「実況放送」など、同じスポーツでも競技性や表現方法、指導者の資質が対極に位置するジャンルの方々を講師にお招きし、対談形式でそれぞれの中にある特性や文化を浮き彫りにしながら、スポーツの多様な見方、考え方を学んでいきます。第1弾は、神戸製鋼コベルコスティーラーズでGMを務める平尾誠二氏と男子柔道60kg以下級の選手として、アトランタ、シドニー、アテネオリンピックにおいて柔道史上初となる3連覇を達成した柔道家の野村忠宏氏に、「チーム競技」と「個人競技」という視点からお話しいただきました。

冒頭、道場を開く祖父、父は元天理高校柔道部監督、叔父はミュンヘンオリンピック金メダリストという柔道一家に生まれた野村氏が、3歳で柔道をはじめ、天理大4年時にアトランタオリンピックで金メダルを獲得、さらにその後の2大会でも優勝に輝いた軌跡を語りはじめました。エリート街道を歩んでいたと思われがちですが、身体が小さく、子どもの頃は女の子にも敵わなかったそう。そして初めて県大会で優勝したのが高校3年、進んだ全国大会は1回戦敗退。そんな野村氏が変わることができたのは、大学時代の恩師である細川先生に練習の取り組み方について怒られたことだったと言います。

それから快進撃がはじまり、初めて出場した世界戦がオリンピックでした。そして大舞台で見事頂点に。しかし金メダルまでの道のりは決して平坦なものではなく、3回戦で当時のチャンピオンと対戦、有効を3度取られましたが、ラスト10秒で逆転勝ちを収めました。野村氏は強い気持ちを最後まで諦めずに戦い続け、この瞬間、自身自身が変わることができたと話します。

そこで平尾氏は、自分がひと皮むけた時を理解していることが大事だと持論を展開。また野村氏は、勝てなかった高校時代、勝ちを意識し、一度スピードや反射神経を生かす柔道スタイルに変えましたが、父親から世界で認められる柔道家を目指すならそのスタイルは辞めた方がいいと言われ、それが大学時代に実を結んだと言います。しかし、現在、若い指導者は目の前の勝ちを急いでいるように思うと言及。「全日本では勝ちにこだわらないといけないですが、勝ちにこだわる時期を間違ってほしくない。子どもの頃は競技を純粋に楽しんでほしい」とひと言。この言葉に平尾氏も同調し、「はじめに喜びや感動があれば、競技を続ける過程で困難にあっても乗り越えることができる」とコメントしました。

「チーム競技」と「個人競技」という点では、平尾氏が「他人のミスをフォローするのがチーム競技の美しさだと思われがちであるが、そうではない。ミスをしないように努力することが大事であり、そういう人が多ければ多い程、勝ちにつながる」と話すと、野村氏は「僕は自分の負けがチームに影響を及ぼすと思うと耐えられないですね」と苦笑い。最後に平尾氏は「近年、テニスや体操など個人競技の選手の活躍が目立っている。個人競技が、ある意味、競技者を含めてスタッフとチーム化しているように思う」とまとめました。このほかにも、根性論や試合中の心の動きなど、チーム競技、個人競技という観点を越えて興味深い話も。充実した内容の講座となり、ご参加いただいた方々も指導のヒントを得た様子でした。 

第2回は7月18日(土)、スポーツ・ジャーナリストの玉木正之氏と毎日放送アナウンサーの赤木誠氏が登場します。皆様のご参加をお待ちしております。


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