第8回『SCIXスポーツ・インテリジェンス講座』実施報告

平成26年度『SCIXスポーツ・インテリジェンス講座』 実施概要

■テーマ:『スポーツが育む「知恵」を どう社会に活かしていくか。』
      人を育て、導くためには何が必要か───。
■趣 旨:スポーツ界の幅広いジャンルから知見豊かな方々を招き、その指導論や組織論から人材育成のポイントを学ぶ「SCIXスポーツ・インテリジェンス講座」の第8弾です。
今回は、SCIXが創設以来、認知普及に取り組む「スポーツ・インテリジェンス」を改めて取り上げてみました。スポーツに自主性をもって取り組むことで身に付く「判断力」や「創造力」などの「知=intelligence」の存在を、指導者がより深く理解し、日々の練習の中で育ててやることで、スポーツを経験した子供たち・若者たちが、さらにスポーツの価値を高めた社会を創造してくれるのではないかというSCIXの想いを、それぞれの立場から語っていただきました。
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第1回『スポーツが育む「知恵」とは何か』

講 師:平尾誠二 氏
日 時:2014年5月17日 19:00〜20:30 
会 場:神戸国際会館セミナーハウス
受講者:100名

 「SCIXスポーツ・インテリジェンス講座」の第8弾は、SCIXが創設以来、認知普及に取り組む「スポーツ・インテリジェンス」を改めて取り上げてみました。スポーツを自主的に取り組むことで身に付く判断力や創造力、主体性などの「知恵」の存在を、現場の指導者がより深く理解し、日々の練習の中で育ててやることで、スポーツを経験した子供たち・若者が、スポーツの価値をさらに高めた社会を創造してくれるのではないかというSCIXの想いを、それぞれの立場から語っていただいた今年度の講座。
 第1回目は、SCIX理事長であり、神戸製鋼ラグビー部GMを勤める平尾誠二氏が講師として登壇し、『スポーツが育む「知恵」とは何か』というテーマで語っていただきました。
 平尾氏は、スポーツはもともと遊びからはじめるので、それを本気にさせるように教えるのが一番の指導方法だという切り口から、超一流の選手は遊び心を失っていないという持論を展開。
 さらに、本気で取り組むとアイデアが生まれ、これはスポーツだけでなく、社会人として仕事に取り組む姿勢にも生かされると言及しました。
 また、SCIXで普及に取り組んでいるスペースボールを取り上げ、人数、環境、能力によって、ルールを変えるなどして楽しめることが、スポーツのひとつの良さであり、知恵の使い方であると述べ、質疑応答へ。サッカーの指導者、春から陸上競技をはじめたという中学生のお子様を持つお父様からの質問など、さまざまな質問があり、平尾氏の的確な回答に会場から拍手が起こることも。
 予定終了時間をオーバーし、第1回講座は盛況のうちに終了しました。



第2回『人材を育てるための「知恵」。
   育成のセレッソはなぜビックネームを獲得したか』

講 師:岡野雅夫 氏
日 時:2014年7月5日(土) 19:00〜20:30 
会 場:神戸国際会館セミナーハウス
受講者:75名
 
 今年度第2回目の講座は、大阪サッカークラブ株式会社(セレッソ大阪)代表取締役社長の岡野雅夫氏を講師に迎えて開催しました。
 ちょうどこの時、サッカーワールドカップブラジル大会が開催されていたこともあり、まずは日本代表の話題に。今大会、セレッソ大阪からは柿谷陽一朗選手、山口蛍選手をはじめ、香川真司選手、清武弘嗣選手、大久保嘉人選手ら以前、所属していた選手を含めて、7選手をワールドカップに送り出しています。一部マスコミから『代表製造工場』とも言われるセレッソ大阪は、育成に非常に力を入れているチーム。現に柿谷選手も、セレッソ大阪(一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ)が運営するサッカースクールの出身者です。またセレッソ大阪で中心選手として活躍している選手がセレッソ大阪のユースチーム出身者や高校卒業後すぐに入団した選手などが多いことに触れ、チームのポリシー「世界で通用する選手を育てる」をメインにお話を進めていただきました。
 岡野氏は、トップチーム、中学生から高校生までのユースやジュニアユース、そしてスクールといった組織体制やそれぞれに必要な予算などについて具体的な金額を示しながら、分かりやすく説明。トップチーム以外で、一番お金をかけているのは、ユースチームだと述べ、その予算はセレッソ大阪のシーズンシートの販売等から捻出していることなどを話した後、「ハナサカクラブ」というセレッソ大阪育成サポートクラブについて言及しました。このクラブは、セレッソ大阪のファンクラブとは異なり、育成組織(ユース、ジュニアユース、ジュニア、レディース)をクラブとともに長期的にサポートすることが目的です。会費は、クラブ運営費とは分け、育成組織の活動するためにのみ活用されています。「シーズンシートの売上やハナサカクラブの会費による費用補助で、すべてのカテゴリーの子どもたちの海外遠征を実施しています」と岡野氏。「下部組織から世界と戦う機会を与え、世界に挑戦させる」が、セレッソ大阪のポリシーだとキッパリ。育成は、「企業に置き換えると、研究開発部門であり、ここに資金を投入しないと良い商品ができないことを同じ発想なんです」と付け加えました。そして最後に「これからもユースチームなどから、ひとりでも多くの世界に通用するプロ選手を輩出できるように頑張っていきます」と力強く宣言し、講座は終了。
1時間半にわたる講座の中には、今シーズン加入したウルグアイ代表の最多出場記録保持者であるディエゴ・フォルラン獲得の裏話もあるなど、興味深い話題が多く、集まった80名を超す受講者は、熱心に耳を傾けていました。



第3回『2020オリンピック・パラリンピック
   地域スポーツはどう変わっていくか』

講 師:鈴木寛 氏
日 時:2014年7月26日(土)19:00〜20:30 
会 場:神戸国際会館セミナーハウス
受講者:60名

 第3回目は、参議院議員時代の12年間でスポーツ担当の文部科学副大臣、超党派スポーツ振興議員連盟幹事長、超党派招致国会議員連盟事務局長、招致委員会評議員を歴任し、現在は東京大学と慶応大学の教授として教壇に立つ鈴木寛氏にご登壇いただき、超党派議員連盟事務局長時代に2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致に奔走された話を中心にお話いただきました。
 鈴木氏は、冒頭で東京オリンピック・パラリンクピックの招致の理由について、東日本大震災からの復興と被災地三県からの強い要望があったことを説明し、「子どもたちに笑顔が戻れば被災地も元気になり、スポーツには計り知れないパワーがある」と強調。その例として、大震災から4ヶ月後の2011年7月、ドイツで開催された女子サッカーワールドカップでのなでしこJAPANの優勝が被災地の人々を勇気づけたと示しました。続けて「被災地の人々が求める一番のコンテンツはスポーツであり、スポーツが人を元気にする!!」と言及。その後、国立競技場の改修決定までの経緯を話した後、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会およびラグビーワールドカップ組織委員会の体制強化など、現在、抱える課題を指摘。さらに今後の展開として、2031年ユースオリンピックの東北開催を目指すと語り、2013年は奇しくも震災の20年後にあたると述べました。興味深い話はまだまだ続き、先日行われたサッカーワールドカップブラジル大会の開催地であり、2016年オリンピックも行われるリオデジャネイロ視察の際に、実際に現地で見て感じたことを話し、改めて、スポーツ庁の設置、若手アスリートの強化をはじめ、現在のスポーツ界の問題点を列挙。そして最後に、関西の視点から、ラグビーワールドカップとの連携やキャンプ誘致、観光誘致が必要ではないかと話され、質疑応答へ。質疑応答でもさまざまな質問が飛び出し、大いに盛り上がった第3回講座となりました。



第4回『スポーツ文化とは「アスリートの知恵」の歴史
    …しかし時々間違えることもあった』

講 師:玉木正之 氏
日 時:2014年8月16日(土)19:00〜20:30 
会 場:神戸国際会館セミナーハウス
受講者:60名

2014年度を締めくくるのは、スポーツ評論家である玉木正之氏の『スポーツ文化とは「アスリートの知恵」の歴史…しかし時々間違うこともあった』をテーマにお話いただいた講座。今年度最後の講座ということもあり、多くの方々にご来場いただきました。
玉木氏は、まず本題に入る前に、野球のルールを例に上げ、野球場の本塁から二塁までの方向は、東北東と定められており、左腕投手の「サウスポー」は、その拳が南から振られるからであり、それなのにボクサーやバレーボール、テニスなどで、誤ってサウスポーという言葉が使われていることなどを説明した後、「スポーツには、まだまだ知らないことが多く、それがスポーツの面白さと相まって、スポーツライターを続けているのかもしれませんね」とスポーツの奥深さを言及。その後、スポーツは大きく分けると、理科系、文科系、体育系の3つの分類できると独自の考えを述べ、さらにスポーツは欧州生まれ、米国生まれのスポーツがあると話しました。「欧州生まれのスポーツには、ラグビー、サッカー、ホッケーなどがあり、審判は1名で、なるべく試合を止めないというのが特徴。そこには、ヨーロッパにおける絶対王政が根底にあります。一方、野球、バスケットボール、バレーボール、アメリカンフットボールなどの米国生まれのスポーツは、審判が複数おり、間が多いのが特徴。アメリカでは、スポーツに娯楽性を求めました。またストリートファイトがスポーツ化された例としてボクシングがあります」とスポーツの誕生・発展には生活の知恵が生かされていると主張。しかし、玉木氏は、「最近、スポーツの知恵がどう進むのか分からなくなった」と言います。「陸上競技についてはトラックやシューズ等の進化、違反ドーピング、遺伝子操作などもあり、不透明な時代になってきている」と発言。そしてテーマである「スポーツ文化とは「アスリートの知恵」の歴史…しかし時々間違うこともあった」の具体的な事例を上げて持論を展開しました。その中で一番の間違えは、体育とスポーツであると説明し、「体育とは、教師が生徒に教えるものであり縦社会、スポーツとは、みんなで考えるものであり、みんなで実らせる横のつながり。この違いに対して認識がなかったことで、日本のスポーツ界において縦社会的な流れが定着してしまった」と慨嘆。続けて「これに気がつき、いち早く組織のあり方を見直したのが、水泳、体操、卓球など。反対に柔道や野球界は旧態依然であり、特に野球界は多くのジャーナリストもかかわっているが、高校野球がおかしいと思っても主催者が新聞社なので声を上げられない状況にある」と苦言を呈しました。最後に質疑応答を行い、講座は終了。
今年度も多くの方々にご参加いただき、ありがとうございました。

 
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